高田崇史氏の小説。
古事記異聞シリーズの第3巻。
今回は、「元出雲」が舞台。
出雲は丹波にあった。元出雲という。
正直、出雲の奥深さが更に濃厚になり、主人公の女子大生橘樹雅とともに迷ったように思う。
この巻では、「出雲」と共に「賀茂」が鍵となっている。
昔、下鴨神社から近いところに住んでいたことがあり、物語に出てくる所は、時折通ることもあった。
だが、出雲寺の名は聞いたことがあっても、やはり行ったことはなかったかもしれない。
糺の森から賀茂川を渡って西側なので、多分何度か通ったことはあるはずだが、「どこにあったっけ?」と雅と同様に、読みながら思った。
しかし、歴史的足跡は大きく、またも悲劇的である。だが知って良かった。
今度近くに行くことがあれば足を運んでみようかな、と思った。
「賀茂氏」についても、いろいろ複雑でややこしかったが、読後ある程度整理できたように思う。熊野から来た賀茂、大和葛城あたりの鴨、三輪の神との関係、そして出雲との関係。
まぁ歴史は一筋縄ではいかないよね、と感じずにはいられない。
さて、第3巻の感想は、「上記の出雲・賀茂の描写や説明と共に、推理小説としての物語性がシリーズの中で一番面白かった」ように思う。もちろんまだ第1巻と第2巻しか読んでないのでその3つの中でであるし、まぁ事件に至る部分については、やや「無理やりっぽい」とは思うところもあったが、ストーリー的には結構自然な展開に思えて良かった。
また雅は、千鶴子と言う先輩と新たに会うのだが、この人はこのシリーズでは今後重要になっていきそうなキャラだ。
(以下ネタバレ部分あり)
一点、ちょっとどうかなぁと思ったのは、冒頭の謎。これがキッカケで物語は始まるのだが、その不思議な伏線が回収されないなと思って読んでいると、最後の最後で回収されるのだが、それが個人的には冒頭に出てくる不思議の割には、ちょっとイマイチだった。
とはいえ、全体には面白かったですよ。
そうして、次の話。雅はやはり次は千鶴子と旅立つようだ。
そしてその場所は、「三輪」。
三輪も、個人的には幼い頃からの思い出の場所なので、第4巻が楽しみである。