愉快な物語、面白い歴史、推理小説などのblog

どうせ見るなら・読むなら心から楽しくなる、未来が明るい物話がいい。そして時々コアな話も。そんな話を子どもたちや友人に紹介したい。司馬遼太郎と宮崎駿のファンが、そんなことを思いつつ好きな作品の感想などを述べてます。

『風の武士』(司馬遼太郎)

bookclub.kodansha.co.jp 『風の武士』 司馬さんが初期の頃に書いた長編小説で、幕末を舞台に、忍者や幻術を扱った、物語である。 司馬さんの物語には、実在した人物を主人公にした話と、創作の人物を主人公にした話と、大きく2つあると思っている。これは…

源平の怨霊 小余綾俊輔の最終講義 

bookclub.kodansha.co.jp 高田崇史氏の小説。 歴史ミステリーの大作である。 今回は、「源平時代」が舞台。 稀代の傑物平清盛が、池禅尼により頼朝の助命嘆願を受けるシーンから始まる。 当時誰しもが(平氏側だけでなく頼朝本人も)運命は定まったと思って…

『身代わり忠臣蔵』(2024年映画)

migawari-movie.jp 『身代わり忠臣蔵』 誰もが知っている、お馴染み忠臣蔵。 大石内蔵助を筆頭に四十七士が吉良上野介に敵討する話だ。 (少しネタバレもありますが、それでもよければ読んでくださいね) 主演はムロツヨシ。だからもちろん(笑)、コメディ…

『君たちはどう生きるのか』(2023年映画)

theater.toho.co.jp 『君たちはどう生きるのか』 心から待っていた。 大好きな宮崎駿さんの作品は、「風立ちぬ」以来で、それで映画は最後だと思っていた。 だから、新しい作品を作っておられる、との情報を聞いて、とても嬉しかった。 そして、ついに封切り…

『BLUE GIANT』(2023年映画)

bluegiant-movie.jp 『BLUE GIANT』 原作が評判であることは、数年前から知っていた。 しかし、音楽(JAZZ)を漫画で表現できるものなのか?と思い、読まずに過ごしてきた。 今年、その作品が映画になったと知った。「これは行かねば」と直感的に思った。 正…

『龍馬 永遠の許嫁』(森真沙子)

honto.jp 『竜馬』の許嫁、千葉さな子さんの後日談小説。 前に司馬さんのエッセイ『千葉の灸』でも書いたが、私は龍馬と関係のあった女性の中では、凛とした、一本筋の通った千葉さな子さんが好きである。 なので、この本に出会えたことは、とても嬉しかった…

『君の名は』(2016年映画)

www.kiminona.com 『君の名は』 (監督は新海誠) 高校生男女の時空を超えた入れ替わり。 次第に互いに惹かれていくなか、その意味に気づいた時・・ 感想は「なんかいいね、こういうの!」です(笑) 上映されていた2016年当時、友達の子どもに、「これは絶…

『ゴーストブック おばけずかん』(2022年映画)

ghostbook-movie.toho.co.jp 『ゴーストブック おばけずかん』 (監督は山崎貴) 願いが叶うおばけずかんにお願いすると・・ おばけが出てくる? 小学生男子3人が叶えたかった願いとは! 感想は「夏休みの子ども映画!子どもたちとみんなで観れて、面白かっ…

『団塊の後 三度目の日本』(堺屋太一)

www.amazon.co.jp 昨日、安倍元首相が、卑劣な凶弾によって斃れられた。 日本のことを考えて頑張ってこられた安倍さんに哀悼の意を表しつつ、国民の一人として、この暴挙に怯むことなく、改めて日本社会の未来のため、これからの時代発展を自由と民主主義に…

『グランクレスト戦記』(漫画版)

www.hakusensha.co.jp 『グランクレスト戦記』(漫画版) ロードス島戦記の水野良が原作。 四葉真がコミカライズ担当。 キャラクター原案は深遊。 歴史好き、RPG好きには、とても面白い漫画に出会ったと思った。 弱小君主のテオが、天才魔法師シルーカと出会…

『トップガン マーヴェリック(TOP GUN MAVERICK)』(2022年映画)

topgunmovie.jp 『トップガン マーヴェリック』 見てきた足で、感想を書いている。 一言、「最高」 まさに期待通りの映画。単純に面白かったのも久々。 感覚だけでいうと、まさに80年代のアメリカ映画を現代に蘇らせてた感じ。 もちろんトム・クルーズ演じる…

『大河への道』(2022年映画)

movies.shochiku.co.jp 『大河への道』 誰もが知っている、でも詳しいことは知らない、伊能忠敬とそのチームの地図作りにかける生き様。 もともと歴史好き、地図好きでもあったので、伊野忠敬の偉業と地図の素晴らしさについてはよく理解しているつもりでい…

『白石と松陰の場合~学問のすすめ』など(司馬遼太郎が考えたこと4 より)

www.shinchosha.co.jp 『学問のすすめ』を江戸時代の2大巨頭をもとに論じたエッセイ。 学問とは知識があることではなく、態度であること。それを新井白石と吉田松陰という二人から学ぶ。 自分の子どもたちにどう学問をすすめたら良いかという難問に一筋の光…

『燃えよ剣』(2021年映画)

moeyoken-movie.com 『燃えよ剣』 幕末を鮮烈に駆け抜けた新撰組副長土方歳三の生涯。原作司馬遼太郎。 幕末維新の頃は、ほんのわずかな期間活躍したことでも、その後100年経っても人々の記憶に残る。 新撰組はそのうちの一つの組織であり、数年間しか存在し…

『千葉の灸』(司馬遼太郎が考えたこと4 より)

www.shinchosha.co.jp 『竜馬がゆく』をもとに、千葉さな子さんのことを書いた短編エッセイ。 作中の女性の中では個人的に千葉さな子さんが好きであったために、彼女の後日談のあるこのエッセイを読んでとてもうれしかった。ただそれだけではなく、この『司…

『妖怪アパートの幽雅な日常』(香月日輪)

bookclub.kodansha.co.jp 『妖怪アパートの幽雅な日常』 幼い頃に両親を失い、その後一生懸命独り立ちを目指して商業高校に入った稲葉夕士。 お世話になった親戚の家を出て、なんと妖怪やお化けの巣窟に居候することに。。 久々に面白い小説を読んだ。 子ど…

『風立ちぬ』(2013年映画)

kinro.ntv.co.jp 『風立ちぬ』 大正から昭和初期、関東大震災から第2次世界大戦に至る、厳しく激動の時代。 日本の若き航空技師・二郎の飛行機作りにかける情熱と、震災時に出会った少女・菜穂子との、再会して始まる儚くも美しい恋を中心にした青春映画。 …

『スタンド・バイ・ミー』(1986年映画)

kinro.ntv.co.jp 『スタンド・バイ・ミー』 80年代の米国の少年たちの青春映画。誰にもある、あの頃の冒険や友情が蘇る。 私の少年時代の80年代は、今にして思えば名作が多かった。 どの世代でもそう思うだろうが(笑) 舞台はアメリカの田舎町で、まだ…

『果心居士の幻術』(司馬遼太郎)

www.shinchosha.co.jp 『果心居士の幻術』 戦国期に活躍した忍者などを題材にとった小編が6点入った小説。解説も秀逸。 『果心居士の幻術』 戦国期の小説は往々にして血湧き肉躍る大活躍をする大名やその重臣を主人公にとったものが多い。 その中で、司馬さ…

雲のように 風のように

1990年3月21日に日本テレビ系で放映されたアニメ。 酒見賢一氏の『後宮小説』が原作。 佐野量子がタイトルと同じ、作風にぴったりなエンディングソングを歌っていて、それがアンニュイで、物語が終わった後の余韻も感じ、印象的であった。 ストーリー…

『明治の若者の気分(坂の上の雲連載予告)』と『京の味はおけら詣りで』など(司馬遼太郎が考えたこと3 より)

共に全く異なるようなエッセイが記憶に残っている。 『明治の若者の気分(坂の上の雲連載予告)』は、名作『坂の上の雲』を新聞紙上に連載する前のひと語りだ。 小説を構想していると、一つの情景があるようだ。正岡子規から話は始まる。 日本の短歌、俳句と…

『竜馬の死』と『坂本竜馬のこと』(司馬遼太郎が考えたこと3 より)

『竜馬がゆく』が完結した昭和41年頃だけに、関連のエッセイが多い。 作品を愛する私は、作者が紐解く舞台裏、感想について、この巻では多く読めたことに感謝している。願わくば、この作品は時代の空気感と共に読みたかった。 『竜馬の死』は、物語が竜馬…

あとがき(『竜馬がゆく 怒濤篇』)、無題(平尾道雄著『竜馬のすべて』) (司馬遼太郎が考えたこと3 より)

長崎。竜馬がその船に憧れた青春を、そして夢を生きていた長崎。私も修学旅行で初めて行って、明るい景色とカステラで大好きになった町(笑)。 そして、故郷土佐の中で竜馬を記録した、司馬さんも尊敬する史家、平尾道雄氏。 「青春」の字の如く、踊るよう…

吉田松陰(司馬遼太郎が考えたこと3 より)

『吉田松陰』 このほぼ最後にあるエッセイが素晴らしい。 この10ページに満たない分量で、明治維新の成立に不可欠でありながら、不可思議な鮮烈な影響力、点火の謎について語っておられる。 間違いなく、松陰と松下村塾の若者たちがいなければ、維新は成立…

幕末を生きた新しい女(司馬遼太郎が考えたこと3 より)

『坂本竜馬は維新史の奇蹟的存在である、といったのは平尾道雄氏だが、このことばには限りない魅力がある』という書き出しから始まるエッセイだが、この言葉に魅き入れられたお蔭で司馬さんが竜馬がゆくを描き、そしてそれを私たち後輩が楽しめるということ…

あとがき(『竜馬がゆく 狂瀾篇』)、ふるさと、薩摩ー維新こぼれ話 (司馬遼太郎が考えたこと3 より)

竜馬にとっての故郷、土佐。そして司馬さんにとっての故郷のひとつ、大和。それから西郷や大久保の故郷、薩摩。 この巻は司馬さんが国民的作家に駆け上っていく契機となる時代のエッセイだけに、筆致が更に躍動して来ており、一読者・一ファンとして、とても…

古事記異聞 京 元出雲

高田崇史氏の小説。 古事記異聞シリーズの第3巻。 今回は、「元出雲」が舞台。 出雲は丹波にあった。元出雲という。 正直、出雲の奥深さが更に濃厚になり、主人公の女子大生橘樹雅とともに迷ったように思う。 この巻では、「出雲」と共に「賀茂」が鍵となっ…

一杯のコーヒーと江戸遷都秘話 など (司馬遼太郎が考えたこと2 より)

司馬さんの、「経験から紡ぎ出す、多くの人が共感できるような心象風景」と、「歴史の重要な1シーンに恰も自身が居合わせたような表現・描写」にも私は惹かれる。 この本にもそう言う作品が多いが、多分にそれらを感じたのが標記の2作品である。 『一杯の…

あとがき(『竜馬がゆく 立志篇と風雲篇』) (司馬遼太郎が考えたこと2 より)

司馬さんは、自分が最も好きな人物『坂本竜馬』を小説に描き、読者に知らしめた。 この一事をもって、司馬さんが私に与えた影響は計り知れないものがあった。 18、19歳の頃読んで、ご多分にもれず、心が熱くなった。友達にも勧めた。 もちろん、この作品…

試験に出ない QED異聞

令和3年の正月になった。 年は新たになったが、手に取ったのは昨年に続き、高田崇史氏の20周年記念短編集。 つくづく、自分でも歴史と謎が好きなんだと思う。 大河ドラマの『麒麟がくる』を見ていても、やはり本能寺の変の真実は結局どうだったんだろうと…